近所の公園でどんぐりを見つけた。
散歩のルートに加わったのが半年ほど前だから、秋の光景を知らずにいた。
そこらじゅうの地面一杯を埋め尽くし、木漏れ日に輝いている。
少し細長いふっくらした茶色の実。
元気いっぱい、幸せいっぱいに育ち、地面に落ちてもニコニコしている。
仲間が大勢いるからな。
こんなにたくさんの仲間がいたなんて、知らなかったよ。
こんにちは、初めまして、よろしくね。
新参者も次々降ってくる。
コチン、背中に当たったかな。
お尻だよ、でもへいちゃらさ。
殻が堅いからね、全然痛くない。
こっちにおいでよ。
ここも空いているよ。
そのまま乗っかっててもいいよ。
転がっていくのも自由。
固まっていても散らばっても、みんな兄弟だからね。
同じ木から生まれ、一緒に育った仲間だよ。
押し合い、へし合い、肌触れ合って、みんなニコニコしている。
街中の小さな公園の中の大きな木。
見上げると枝を広げた木の葉の隙間から青空が見えた。
森の恵みで暮らしていた遠い祖先も眺めたであろう光景。
北海道でOSO18が駆除されたそうだ。
人間による生息地の分断と破壊。
主食の木の実が大増殖するシカに奪われ、本来植物食中心の食習慣を変えざるを得なくなったのでは、と言われる。
最後はやせ細って、逃げる気力も体力もなかった様子。
公園のどんぐり全部、クマにあげたかった。
翌日公園に行ったら、地面はすっかり掃き清められていた。
フェンスわきのゴミ置き場には数個の大きなごみ袋。
落ち葉と一緒にどんぐりも片付けられたらしい。