ひまつぶし人間観察

黄金虫の消えた夏

毎年夏になると大発生し、植木の葉を食い尽くしてしまうので手を焼いていたが、今年はほとんど見かけなかった。
その代わり、酷暑でボロボロになったが。

蚊が少なかったと、みな口を揃える。同感。
動植物、虫に至るまで、この夏の暑さは耐え難かったのだ。

人間はエアコンの効いた家の中に籠ったが、逃げ場のない生き物たちは死滅するしかない。

この夏、虫はほとんど姿を消したが、来年はどうだろう。

蝉のように成虫になるまで何年もかかるものもいるが、大方の虫は短命だ。
毎年世代交代するものもあれば、1年に何度も世代交代するものもある。
中には1週間で世代交代する強者まで。

且つ、卵は大量生産される。
万に一つでも新たな環境に適合する個体が生まれれば、それを足掛かりに進化を繰り返す。
虫たちの生存戦略である。

熱帯に生息するある種の蚊は、人間の作ったあらゆる殺虫剤への耐性を既に獲得したと聞く。

暑さへの耐性も、真っ先に獲得するに違いない。

数年後、あるいは来年、再び訪れるであろう酷暑の夏を、彼らは平然と生き延び、大繁殖していくのではあるまいか。

人類は?

新たな殺虫剤の開発にいそしむことだけは確かだ。

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