散歩ルートの公園の樹木が伐採された。
住宅地の中にある小さな公園で、広さは建売住宅数軒分くらい。
車なら一瞬で通り過ぎて気づかないだろう。
それほど小さいのに、敷地に入ると別世界のように感じた。
周囲がぐるりと見上げるような木立に囲まれているのである。
ほとんどが広葉樹で、椎やコナラ、クスノキやケヤキ。
両手で抱えられるくらいだから樹齢は50年かそこらだろう。
多分、公園ができたときに植えられて、毎年すくすく育った。
家の庭先だと、よほどのご邸宅でもない限り、季節ごとに剪定ばさみの手入れを受け、ちんまりと整えられるが、電線との競合箇所を除き、概ね余計な世話を焼かれずに育ったようだ。
のびのびと枝を伸ばした樹木の姿はそれだけで気持ちものびやかになる。
春は若芽が吹き出し、とりどりのフレッシュグリーンが沸き立つように広がる。
夏は木陰が覆い、憩いの場となる。
秋は木の葉が色づき、静かで濃厚な時間を感じさせてくれる。
冬の寒風に屹立する鋼のような姿も素敵だ。
本当に小さな公園なのに、別空間の趣があった。
ある日、そのことごとくが伐採されて切株となった。
残っているのは真ん中の2,3本だけ。
素っ裸にされた公園は、確かに見通しは良いが、失ったものが大き過ぎはしないか。
花びらを全部むしったバラの花の、味気無さ。
空虚感にいたたまれない。
